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会員名

 職 種 
 


磯貝 剛  Isogai Tsuyoshi

べっ甲クリエイター
 

事業所名

ベッ甲イソガイ

所在地

TEL&FAX

工 房
136-0071 東京都江東区亀戸3−32−4
 T 03-3682-4405  F 03-3682-4408

浅草店
111-0032 東京都台東区浅草1-21-3
 T&F 03-3845-1211

亀戸店
136-0071 東京都江東区亀戸3-3-6
 T&F 03-5628-1244

URL

http://www.bekko-isogai.jp/

E-MAIL

web-shop@bekko-isogai.jp

PR動画

磯貝剛×株式会社七彩工房/

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主な販路

店鋪、業者、デパート催事 等

主な材料

現在、国際条約(ワシントン条約1994年)輸入が制限されているタイマイという亀の甲羅を用いる。色は亀によりそれぞれ微妙に異なり、大きく分けて白甲(亀の腹)、茨布甲(亀の背)、黒甲(背)などがある。

主な道具

ヤスリ、糸ノコ、小刀、モーター類

主な製品名

簪(かんざし)、櫛(くし)、印籠(いんろう)、根付(ねつけ)、ミニ印籠などの装身具、
ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス、指輪、ネックレス、折鶴の置きもの、ライターなど

特徴

べっ甲の技術で最も重要なのが、薄い甲羅を重ねることにより厚みを増す「合わせ」という作業です。この作業は、色合いの違う甲羅を吟味し、厚さを見ながら数枚の甲羅を重ねるので、同じ甲羅からでも職人によってでき上がる色は違ってきます。

当工房では、特に厚ものとよばれる、通常よりいくぶん厚みのあるしっかりした仕上げにしています。さらに材料を吟味し良い色に仕上げた「厚甲上茨布」とよばれる製品は、職人自身も惚れ惚れとしたべっ甲の良さが凝縮されています。以上のようなべっ甲本来の色合いを生かした製品づくりをメインテーマとして一つ一つ作っています。

PRポイント

べっ甲の色合いがきれいに見えるよう、丸くしたり角を残したり、カットしたりと色々な仕上げを行っています。

 

掲載雑誌・

TV番組での公開等


・「SEVEN HILLS premium」(セブンヒルズ・プレミアム 2011年10月30日発行)
・「Meets Regional もっと!!東京の手仕事」(京阪神エルマガジン社 2011年5月1日発行)
・「casa BRUTUS ニッポンの老舗デザイン」(マガジンハウス 2011年3月31日)
・「日本の職人」神山典士 (河出書房新社 2007年10月20日)

その他多数
http://www.bekko-isogai.jp/contents/about-bekko-isogai.html

インタビュー記事

問1)磯貝さん、これまでの経歴についてお聞かせください。

isogai-01-149.jpg答)大学に入る頃、べっ甲の輸出入がワシントン条約で規制されたこともあり、べっ甲屋以外の職業も考えようかと教職につくことも考えて大学に入ったのですが、私が大学2年くらいの時、師匠である父から「材料はなんとかなりそうだから、もしべっ甲職人になりたければ、やってみたらどうだ?」という話もあり、この頃から工房に出入りして見習いをはじめました。

その後、大学卒業とともに就職という形で工房に入りました。最初のうちは自分の思い通りにものが作れませんでしたが、3、4年ほどした頃から、どうにか自分の作りたいものが作れるようになってきました。大学在学中から数えて10年ほどになりますが、今では自信をもってものづくりができるようになりました。

問2)お仕事の内容についてお聞かせください。

答)べっ甲の加工はもちろんですが、様々なアクセサリー等のデザイン、小売りも含めてものづくりを行っています。もとは、墨田区の方で小さなお店をしていたのですが、兄弟も工房に入り仕事をするようになったため手狭になり、現在の場所にお店を構えることになりました。ここにお店を構えることによってお客様の声や反応が直接聞けるようになり、作りたいものへのイメージがより絞られるようになってきました。

作家と職人の違いをよく言われますが、どちらが良いということではなく、作家的に思う存分時間をかけたものはその分価格も高くなってしまいますが、お客様の要望と価格とのバランスをとりながら、それでいてちょっと垢抜けたものづくりをしたいということを基本姿勢としています。

祖父の時代には小売りはしていなかったため、お店(おたな:注文先)から「こういうものを作って下さい」という注文にたいして、できるだけ安く作るという一方的なやり方だったようです。

このような「卸し」のやり方だと一つのデザインでも数多く作る必要があるため材料も大量に使ってしまうのですが、今の私達のような小売りも行うやり方だと、デザインの種類はたくさん増えますが、一つのデザインは少数の生産になるため材料の無駄がなくてすみます。材料の量が輸出入禁止によって限られているため、お客様の要望を反映し、材料を浪費しないようなものづくりを行っています。

問3)修業時代の苦労話などをお聞かせください。

isogai-02-032.jpg答)一日中座り仕事なので大変なのではないかと言われるのですが、私は特に苦痛ではないです。もともとものを作る事が好きだったからだと思うのですが、親方も厳しいというよりほめ上手なところがあるため、一般的な修業の辛さと言うものはあまり無かったと思います。

好きな事にのめり込んでやっているため、苦労を感じずにいられたのかもしれません。ただ、強いて言えば、ものづくりのアイディアが全く出ないときは辛いです。

修業時代は親方のサポート役として与えられた作業をこなす事が主で特にアイディアが必要な場面はないのですが、仕事が終わった後自分の作りたいものをちょこっと作る時にうまくアイディアが出ない時は産みの苦しみがあります。こういう苦労の積み重ねであるアイディアネタはファイルして保存してあります。

問4)このお仕事をされていて良かったと思う事は何ですか?

答)もともと和装用品が主体だったべっ甲細工を洋装向けにも手を広げた事によって一気にレパートリーが増え、これはやりがいに繋がっていると思います。はじめのうちは試行錯誤の連続で、手間も時間もかかってしまい値段も高くなってしまうのですが、それでは売れないため、値段を下げる事ができるような試行錯誤を繰り返すのですが、このような新しい商品をつくり出すための挑戦を繰り返して、一つずつハードルを乗り越えていく感覚がものづくりの面白みだと思います。

パッと思いつきで考えたものを最終的な形にできるまでの過程と、できた時の達成感、またそれが商品としてお客様に買われて喜んでいただけた時はうれしいですね。試作品として作ったものの方が良く売れることがあるのですが、サンプル品には思いがけない力が込められているのでしょうか。その後に同じものを作った時は普通の売れ行きになるので、不思議です。職人仲間でもよく話をするのですが、自分でも「やった!!」と思ってできた商品は他のものよりも売れるのも早いです。

問5)もし、職人になっていなかったらどのような道に進んでいたと思われますか?

答)大学に入る時に教師になる事も考えました。職人の世界はこれまで工房の中だけの世界ということでかなり閉鎖的な世界だったと思うのですが、教職というのはその逆で、一種のサービス業的に生徒をうまくのせて勉強をさせなくてはいけません。

職人の世界も、もう少しくだけた考え方ができるようになると良いのではないかと思います。お客様の要望を取り入れたものづくりに対する考え方は、大学での教職への経験で身についたものではないかと思います。職人の世界だけではなかなか身につかなかったと思います。

問6)製作にあたって苦労する点は何ですか?

isogai-03-141.jpg答)甲羅を加工する際に、一般的に良い場所というところは黄色い部分なのですが、この部分を何枚か重ねて厚みを出していきます。一枚の甲羅の中でこの黄色い部分は少なく、大きなものを作ろうとすると数多くは作る事ができません。

祖父の時代は、良いところを大きくとって、残ったところは端材として他の工房に安く売ったりしていたのですが、今私の工房では、大きいものをとった残りの部分でネックレスやアクセサリーの細かい部分をとったりすることで、もとの材料の8割以上を使い切り、材料の無駄をなくしています。

昔に比べて材料のとり方に手間と時間がかかるため、苦労しているといえます。その分、稀少価値があるために価格が高くできるというわけでもなく、売れるかどうかのバランスの中で作っていかなければならない点について苦労しているといえるかもしれません。

問7)製作にあたって特にこだわっている点は?

isogai-04-090.jpg答)技術的なこだわりの部分は、薄い材料をいかに無駄にしないように削るかということでしょうか。一般的なやすりでは目が細かくギザギザになっているため多く削れてしまいますが、雁木(がんぎ)と呼ばれる道具では目が横に直線になっている小さな刃ものが沢山ついているので(写真中央)薄く削ぐことができます。これを使うと、薄い材料を削り過ぎないように傷だけをとることができます。

白甲と呼ばれる甲羅の部分は特に薄く貴重なため、慎重に削る必要があります。材料を大切に扱うための道具の扱いは、特にこだわっている部分です。

問8)今、仕事以外で気になる事(もの)あるいは趣味は有りますか?

isogai-05-102.jpg答)散歩で町中を歩いたり、お店の中を眺めたりする事は好きで、ここで気に入ったものを参考にする事はあります。
以前ファッションイベントの一部で展示を行いましたが、普通の商品を並べても訪れた人にとっては「なんだこりゃ」ということにもなってしまう。それで、売れるかどうか分かりませんが(こういう場に合うような)見せ玉として挑戦的な作品も作ってみました。それを見てもらうことが、ふだん作っている品物も良く見えるという事に繋がると思うので、(ファッションイベント用に作成した挑戦的な)こうした作品をお店にも出すことも良い事ではないかと思います。(このようなイベントに参加する事も良い影響を与えていると思います。)

ただ、あまり挑戦的すぎる作品は職人の仕事というより、作家の仕事になってしまうので、このあたりのバランスの取り方が微妙だと思います。

問9)品物の使用にあたって注意すべき点があれば教えて下さい。

答)基本的に天然のものなので、汗などの水分となじみが良いため、こまめに乾拭き等の手入れをすることが長もちの秘訣です。

問10)べっ甲の材料はどれくらい残っているのでしょう?余った部分は捨ててしまうのですか?

isogai-06-053.jpg答)非常に質の良い部分は比較的早くなくなってしまうので、かなりセーブして使っています。単純に材料の量だけでいうと、まだかなりの量を確保しています。工房の床下の一面を埋め尽くすくらいの貯えはあります。特に黄色い部分は質が良いのですが、こういう部分を贅沢に使っているとすぐなくなってしまいます。売れるものはこういう部分だけではないのでうまく調節して使っています。

べっ甲に貼ってあるシール(右写真)は多分キューバのものだと思うのですが、乱獲を防止するための原産地の管理用の番号と印があります。他の原産地としては東南アジアやカリブ海方面です。亀の捕獲が規制されてから、少しずつ亀の数が増えているという研究結果が報告されているようです。

実際に日本人が工芸品として必要とするべっ甲の量は、乱獲しなければならない程の量ではないのですが、アフリカ象の牙が乱獲されたのと同じように、現地の人々にとってお金になるという事で必要以上に捕獲してしまうということがあるようです。

実際には、漁師の網にたまたま引っ掛かったくらいの亀の量で充分なのです。他の亀の甲羅はタイマイに比べてパサパサして、重ねて密着させる事ができないため使いものにはなりません。お客さんでよく、真顔で亀戸天神の亀を使っているのかという方がいらっしゃるのですが....(笑)

問11)製作の作業工程の中で、特に好きな工程がありますか?

答)ひとつひとつの材料の甲羅を見た時、良い色が出そうだと思った甲羅同士を重ねる前の段階が好きです。甲羅を重ねて色を透かしてみて何枚かをセットにするのですが、ここで出来上がりをイメージする時がワクワクします。創作する上での期待感が一番高まる段階が面白いと思います。

問12)べっ甲加工の技術で最も難しい技術はどのようなものですか?

答)素材が非常に薄く、また薄いところほど良い色が出る事が多いので慎重に作業します。道具も万能でないため、薄くて色の良い部分を加工するところが一番気を使います。

問13)気になるデザイナーやアーティストはいますか?(影響を受けた人は?)

isogai-07-137_2.jpg答)個人的にどの作家だからいいということはあまりないのですが、実際に自分で目にしていいなと思ったものが、先生と言われる方のものだったという事はあります。ものとしていいなと思ったものはどんどん参考にさせていただきたいと思います。

ものを見て歩く時、ものとその店鋪の雰囲気なども参考になります。青山などを歩いていると、良い雰囲気のお店には良いものがあったりするので、そのようなディスプレイの方法も参考にしています。この店の陳列棚や看板なんかも私が作っています。




問14)今後、作ってみたいものがあれば教えて下さい。

isogai-08-070.jpg答)生活用品の中にちょっと天然柄のべっ甲を取り入れる事で、心が癒されたりするようなものを作って行きたいと思います。ふだん使われるものをべっ甲で作っていければと思っています。若い人でも親しみやすいようなものから作っていきたいと思います。




問15)ご自慢の道具があれば教えて下さい。

答)特に一から自分で作る道具としては、小刀があります。

鋼材屋さんから鋼材を切るノコギリを買って、自分で鋼材を切り出して、自分の好きな角度の刃を作ります。市販の小刀もあるのですが、なかなか切れ味が良い物がないので自分で切り出しから作ります。刃は切れ味を維持するために常に研いでいます。その他に雁木(がんぎ)という道具があります。

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問16)職人の道を目指す若者に何かアドバイス等があればお願いします。

答)お金を稼ぐためだけにやる仕事はなかなか長続きしないし、面白くもないと思うので、職業を選択する上で自分が好きな仕事かどうかを考えてもらいたいと思います。多少辛いことがあっても好きな仕事であれば乗り越えられると思います。

問17)お客様にお伝えしたい事があればお願いします。

isogai-11-093.jpg答)色が二つとして同じ物がないというのがオリジナリティであり、買う人によって色や柄の好みが違います。ひとつひとつ味のある一品ものの良さを、多くの方に楽しんでいただければと思います。