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会員名

 職 種 
 


大久保 忠幸  Okubo Tadayuki

江戸切子
 

事業所名

有限会社 大久保硝子工芸

所在地
TEL&FAX

135-0072 東京都江東区大島5−2−6
 Tel 03-3638-1698  Fax 03-3638-1705

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主な販路

百貨店催事、通販、東京スカイツリー展望デッキ(フロア345)限定商品販売

主な材料

ガラス(透明なガラスに色を薄く被せたもの)

主な道具

グラインダーなど

主な製品名

グラス、御猪口、箸置き、花器など

特徴

透明なガラスに薄く色を被せたガラスの表面を、金剛砂や砥石で削り、幻想的なカット面を作る。カットは直線の彫りの深さや組み合わせで様々な断面の屈折した光をつくり出すことができ、江戸切子独自の模様として魚の鱗に似た「魚子」、矢のように降る雨や竹垣の交差に似た「矢来」、他に「星」、「七宝」、「篭目」など多くの伝統的模様がある。

当工房の作品づくりの特徴は、通常の伝統的・直線的な模様の切子づくりで行う下絵を描かず、直接グラインダーで削っていくもので、「ときめき、ひらめき、きらめき」をモットーに作品づくりを行っている。

PRポイント

当工房では、伝統的な模様に加え、江戸時代の粋や洒落などの遊び心を取り入れた、技術と感性を生かした伝統に縛られない切子づくりをめざしている。
東京マイスター、伝統工芸師、日本工芸界正会員 

掲載雑誌・
TV番組での公開等  

家庭画報、サライ、和楽、おしゃれ工房、casa BRUTUS 、
その他多数

インタビュー記事

問1)大久保さん、これまでの経歴についてお聞かせください。

okubo-01-004.jpg答)小学校6年生の頃から父の工房で手伝いをはじめました。以前の父の工房は、問屋さんからの仕事をしていたため何人もの職人さんを抱えて、もう少し広い工房で作業をしていたのですが、そうした環境の中で、あいている作業台で半ば遊びのようにして技術を身に付けていきました。そして高校卒業後、父の工房で本格的な修業に入り、5年程度の修業期間の後、独立しました。


問2)お仕事の内容についてお聞かせください。

答)ガラスの製造場からガラスを仕入れて、切子に加工します。ガラスの基本形は基本的な金型があり、それ以外のオリジナルの物を依頼する場合は新たに金型を製作してもらい、もとのガラスを作ってもらいます。もとのガラスはまず型の中で色付きのガラスを0.3mmの厚さで吹き、その後に透明のガラスを吹き入れて作ります。このもとのガラスを仕入れて切子にする柄をデザイン・加工し、できた製品を販売します。

春の新作としてデザインした桜の柄のグラスは600個売れました。600個の桜の柄は、一般の人がちょっと見ただけでは違いが分からないほど、同一の柄になっています。このように同じ柄をいくつも作れる事が、職人の技術です。手作りだからといって一つ一つが違う柄に見えるようでは、プロの職人とは言えません。ここが作家と職人の違いです。

問3)修業時代の苦労話などをお聞かせください。

答)江戸切子の基本パターンを覚えるのに、5年ほどかかりました。人や作業の内容にもよりますが、比較的早く習得できたと思います。そのために美術館に展示してあるような基本パターンの切子を模写したりもしました。オリジナルで干支の十二支を題材にしたシリーズを作りました。はじめは師匠に邪道といわれましたが、後には、お客様に喜んでもらえた事を師匠に理解してもらう事ができました。

問4)このお仕事をされていて良かったと思う事は何ですか?

okubo-02-039.jpg答)お客様と直に接しているため、お客様のニーズに答える事ができた時は大変嬉しいです。今、お客様の干支と季節を組み合わせた切子を考案して提供していますが、女性にも受け入れやすいような愛らしい干支をモチーフにしているため、非常に喜ばれています。こんなふうに、テーマを持って製作している職人はいままでにはいなかったと思います。

例えば日本の四季などをテーマにシリーズを作ったり、お客さんが飼っている動物を取り込んだデザインなど、オーダーメイドに近い作品を作って喜ばれています。こうしたオリジナルな製作姿勢は当初、邪道といわれた事もありましたが、基本的な伝統技術を身に付けた上での活動であることをわかっていただき、数々の賞を受けたり、日本工芸会正会員に認定されたりもして、お客様にも納得して頂いています。

問5)もし、職人になっていなかったらどのような道に進んでいたと思われますか?

okubo-03-079.jpg答)昔から音楽が好きで、今でもジャズのバンドでサックスを演奏しているのですが、もし職人になっていなかったとしたら演奏家でしょうか?(笑)しかし、切子にも音楽と同じでリズムがあります。製作する時の音色やリズムがいいかどうかで職人の腕がわかります。これは他の職人さんでも同じでしょう。

昔、テレビ東京の番組で「究極の一品」という番組があって、そこで荒川の土手でサックスを吹くシーンや、工房での作業風景を取材された事がありました。ミュージシャンのイルカさんの「なごり雪」をテーマにした作品を製作し、NHKのBSで放映された事もあります。イルカさんも感動して家宝にしてくれているそうです。音楽の歌詞やリズムが、作品のストーリーやテーマの参考になっています。

問6)製作にあたって苦労する点は何ですか?

okubo-04-070.jpg答)下絵を描いたりせず、いきなりガラスをキャンバスのように作業しはじめるので、自分のテーマと作品のできが一致するまでは苦労します。それまではガラスを無駄にする事もあります。

ガラスに直接刻みはじめる事により、構想を練ると同時に手が作り方を覚えていくので、一度、手が覚えてしまうと同じ物を何個も作る事ができます。紙などに一度描いてから作業すると、かえってそれに頼ってしまい、描かないと彫れなくなってしまう事もあります。伝統的な彫り方には、ガラスに大変細かいあたりを付けてから作業をする方法がありますが、私の場合は簡単なあたりしか付けません。

問7)製作にあたって特にこだわっている点は?

答)自己満足に終わらず、お客様に最終的に喜んでいただけるものづくりです。遊び心をもって、センスよく模様を配置する事にもこだわっています。

問8)今、仕事以外で気になる事(物)あるいは趣味は有りますか?

okubo-05-076.jpgokubo-06-090.jpg答)他の業種の職人さん達との交流が、参考になる事もあります。他の職人さんが作られるものは気になります。例えば陶器の変形鉢のようなものを切子で作ろうとするとかなり大変なのですが、あえて作ってみると、これまでとは違った切子が見えてきます。また着物の伝統的な模様なども参考になります。要するに、切子以外の伝統的な日本の模様、文化を、積極的に切子に取り入れていきたいということです。

問9)特に好きな模様がありますか?

答)日本の伝統的な模様が集約されている着物の模様が好きです。

問10)切子細工の技術で最も難しい技術はどのようなものですか?

okubo-07-134.jpg答)曲線は特に難しいです。直線を作る動きは、比較的単純な直線的な動きでいいのですが、曲線は少しずつ徐々に彫っていきます。太い線の部分は少しずつ彫りすすめる事によって曲線にしていきます。




問11)市松模様は大久保さんのヒット商品と聞いていますが、その他にオリジナルの模様はありますか?

okubo-08-093.jpg答)市松模様は着物の模様として古くからありますが、今から20年ほど前に、切子にアレンジし販売しました。その後は他の職人さんも作っているかもしれませんが、当時としては珍しかったためか大変よく売れました。




問12)今後、作ってみたいものがあれば教えて下さい。

答)日本の文化を貴重とした、源氏物語や四季の花言葉、そんなストーリー展開のあるものを今後も作っていきたいと思います。もちろん伝統的な切子の模様もさらに深めていきたいと思いますし、より大きな作品にも挑戦していきたいと思います。
夫婦の干支を入れたり、パーソナルなニーズにも取り組んで楽しんでいただきたいと思います。ストーリー展開とパーソナルなニーズを合わせたようなシリーズ展開も考えています。
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問13)こだわりの道具があれば教えて下さい。

okubo-11-103.jpg答)彫る模様に合わせて道具も工夫して考案します。最初は平な形である金剛砂やすり(写真右上の円盤状のもの)の円周の部分に細い突起を作ったり、大きさを変えたりして作りたい物ができるような形に加工していきます。

私は最終的な磨きの工程も手磨きで行っています。他の職人さんでは酸で磨く人もいるようで、その方が作業は楽なようですが、最終的に少し優しさにかける輝きになるように思います。手磨きの場合は、きらびやかではないけれど、温かみのある輝きになります。






問14)職人の道を目指す若者に何かアドバイス等があればお願いします。

okubo-12-139.jpg答)まずは基本的な事をきちんと身につけて、さらに自分の個性を発揮していってほしい。個性も単なる自己満足なものづくりではなく、お客様に喜んでもらえるようなものづくりを目指してほしいです。





問15)お客様にお伝えしたい事があればお願いします。

okubo-13-026.jpg答)お客様だけの身近な話題を柄に盛り込んだ、こだわりの一品を楽しんでいただきたい。単なる高級な飾りものとしての切子ではなく、安くても生活の中で使っていただいて楽しんでいただけるようなものを提供していきたいと思います。